はじめに
前回はクロアチアの首都・ザグレブを撮り歩きました。

今回はザグレブから南に130km、世界遺産にも登録されているプリトヴィツェ湖群国立公園に行ってきました!
プリトヴィツェ湖群国立公園について

クロアチアの大自然を満喫するなら、プリトヴィツェ湖群国立公園は外せません。ここは、1949年にクロアチア初の国立公園として指定され、1979年には世界遺産にも登録されました。
場所は、クロアチアのリカ=セニ郡とカルロヴァツ郡にまたがる内陸部。ボスニア・ヘルツェゴビナの国境にも近く、ディナル・アルプス山脈北部の美しいカルスト地形が広がっています。
公園の特徴は、何といってもその独特の湖沼景観。大小16の湖、92の滝、114の洞窟があり、その美しさはまるで別世界のようです。透明度の高い水と石灰岩が織りなすエメラルドグリーンの湖面が、訪れる人々を魅了します。
かつてはクロアチア紛争の影響で危機遺産リストにも載りました。紛争は1995年に終結し、1997年に危機遺産リストから解除されました。現在は完全に復興し、世界中から多くの観光客を迎えています。
ザグレブからバスでプリトヴィツェへ

時刻は午前5:45。ザグレブ中央バスターミナル(Autobusni Kolodvor Zagreb)にやってきました。プリトヴィツェ湖群国立公園はザグレブからバスで約2時間半の旅です。

バスターミナル内にある”Mlinar”というベーカリーで朝食を済ませました。注文したのはチョコレートマフィンとカフェラテ。こんな早朝から営業しているのがありがたいです。
長旅ですが、車窓からはのどかな風景が広がり、あっという間に時間が過ぎました。
プリトヴィツェ湖群国立公園に到着!

公園に到着したら、まずはチケットを購入。私は学生料金で200クーナ(約4,000円)でした。ISIC(国際学生証)を提示するのがベターだと思います。

入場口に進むとすぐに展望台があり、人だかりができていました。どんな風景があるのでしょうか。

行ってみるといきなりの絶景!湖の青さと森の緑が織りなす絶景に、いきなり心を奪われます。お天気も素晴らしく、期待が高まります。
山あいなので天候が不安定なのか、いろいろな旅行記を見ていてもプリトヴィツェでスッキリと晴れているものはあまり見かけないので、かなり運が良かったかもしれません。


見える範囲だけでも、すでに数えきれないほどの滝があります。遊歩道を歩く人々と比べてみると、滝、湖、石灰岩の大きさに圧倒されます。これから先、この雄大な自然のなかを歩くことができるのか…!と胸が高まります。

バルカン半島北西部の付け根に当たるプリトヴィツェ周辺の土地は、ヨーロッパ最大のカルスト地形です。地質は主にドロマイト(白雲岩)と石灰岩のカルストからなる特徴的な景観で、いまいる展望台からは白く美しい石灰岩が目立ちます。
炭酸カルシウムの濃度が高めのプリトヴィツェ川の水がこの峡谷を通ることで、炭酸カルシウムが堆積して石灰岩になり、いくつもの美しい湖が形成されたそうです。何万年もの歳月を経てこの景観ができたと思うと、このコースを整備してくださった方々へのありがたみが増してくるものです。
自然路には4つのコースがあります

公園内にはA・B・C・Kの4つの散策コースが用意されており、距離が短い順にA→C→Kとなっています。Kコースはかなり長いため、私は奥の方にも行ってみたかったので、Cコースを選択しました。途中、船に乗ることができるのが良いですね。Kコースは全区間を徒歩で突破するルートのようです。Cコースよりも10,000mも距離が長いです…!
しばらくは4コースとも共通のルートを進みます



コースは、まず標高を下げながら湖へと近づいていきます。歩くほどに湖が大きくなり、その透明度、そして湖群の大きさがより際立ってきます。
雲ひとつない最高の天気のなか、素晴らしい自然を歩くことができております。風も弱く、水鏡に映るカルスト地形を拝むことができました。


老若男女、さまざまな方が公園に訪れています。息子さんをおぶったままハイキングをしているパワフルなお母様もいました。時期のせいもあって(コロナ明け直後)アジア人は少なく、ほとんどが欧州からの観光客でした。



遊歩道の側方にはせせらぎを見ることができます。苔むしたところを流れる水も澄み渡っており、ここ最近は天候が安定していたのだな、と思いました。また、この写真からでも朝の空気の瑞々しさを思い出すことができます。


遊歩道はしっかりと整備されており、普通のスニーカーで十分歩きやすいと思います。要所要所で手すりもありますし、安心して歩くことができる環境でした。
観光客もほどよくいらっしゃいますので、道に迷って出られなくなる、ということもないとおもいます。気を付けるポイントとしては、当たり前ですがスマホやカメラを湖に落とさないようにすることくらいでしょうか。




光が当たって鮮やかな部分も、影になって限りなくモノクロームな部分も美しいです。足元に目を配ると水鳥や小魚が泳いでおり、いろいろなところに目が向きます。転ばないように注意しなければなりません。
AコースとB/C/Kコースに分岐

ここでAコースと、B/C/Kコースに分岐します。というか、Aコースはここで折り返しになっていた気がします。この先に船着場とお手洗い、カフェがあります。

分岐の先は水深が浅く、湿地帯のような雰囲気です。石灰岩で水捌けがよいので湿地ではなく、浅い湖に生えた草が湖面上空まで伸びているだけだと思います。

遊歩道から木々を通して湖面をみると、まるで青空のようです。透けて見える湖底が、背景の青が空でないことを教えてくれます。
湖上の船でさらに奥へ!

Cコースでは途中、船に乗って湖を横断するポイントがあります。船着場の近くにはお手洗いや売店があり、休憩にもぴったり。ただ、まだまだ元気だったので軽く水分補給だけして、いざ乗船!対向する船にも観光客がぎっしりで、世界中から人が訪れていることを実感しました。
滝と湖が織りなす美の連続

船を降りた後は、さらなる絶景が待つ公園の奥に足を進めます。すこし雰囲気が変わり、滝が増えてきました。


入り口付近のエリアよりも、水の透明度が上がった印象です。チョロチョロと落ちる小さな滝が形成する波紋を見ると、その透き通り具合が際立ちます。


ほどよい水量の滝。水の軌跡がしっかりと分離されていて、糸のように見えるのが美しいです。



水の色は場所によって異なり、深いエメラルドグリーンから澄んだターコイズブルーまで、まるでパレットのように変化します。水が糸のように落ちる様子が美しく、光を反射する水飛沫が幻想的な輝きを放っていました。


少々の人だかりができていた、ここ一帯では比較的大きな滝です。水飛沫がさまざまに光を反射し、複雑な色彩を作り出しています。

「大中小」というよりは「太中細」が似合う滝たち。α7IVの手ぶれ補正と若干の気合いでシャッタースピードを遅くし、流れる滝を表現できました。
デルタ線の遊歩道と湖畔の休憩ポイント

さらに進むと、湖の間を縫うように伸びるデルタ線の遊歩道が現れます。遊歩道が良い感じの休憩スポットになっていました。なんだかんだで、しっかりとベンチが設けられているような座れるスポットは少なかった記憶があります。

ここでは、湖畔に座って休む人々も多く見られました(入ってはならない気がしますが)。木々の間を吹き抜ける風が心地よく、静かな時間が流れています。


この先、水の色がさらに深みを増し、より濃いエメラルドグリーンに変化。水深が深くなったためでしょう。湖面に映る木々と空のコントラストが美しく、どこを切り取っても絵になる景色が続きます。

上から湖をみると凄まじい色をしています。明るいエメラルドの部分は、滝によって削られ切っていない、尾根のようになった石灰岩ですね。この色の濃淡が立体感のある湖面を作り出しています。
に浮かぶような魚たち


木々の間を抜けると、突然、水深の浅い湿原のような見た目の場所に出ました。

水深が浅いにも関わらず、水の透明度が凄まじいです。土砂が巻き上げられることなく湖底がはっきりと見えるほど透き通っており、泳ぐ魚たちがまるで宙に浮かんでいるように見えます。


再び森へ。Cコースも終盤に差し掛かり、少しずつゴールが近づいてきました。
旅の締めくくり

最後に出会った小さな滝が透明感たっぷりで美しく、この公園のハイライトになりました。意外と、さりげない風景が忘れられなかったりするのです。



ゴールの近くに来ると、湖を見下ろせるスポットがあります。ここ一体の湖はすこしミルキーな青色をしています。あまりにも煌めいており、水という物質は本当にいろいろな姿を見せてくれると実感します。まだ見たことない水が世界にはたくさんあるのでしょう。

プリトヴィツェ湖群国立公園の紹介でよく見る、S字の遊歩道を望めるスポットにやって来ました。ここは枝が迫り出してくるので、70mm以上の望遠で撮るといい感じになります。

スタート地点に戻ると、光の角度が変わったせいか、また違った風景に見えました。じっくり写真を撮りながら歩いたので、Cコースの所要時間は約4時間。終始感動しっぱなしの素晴らしいハイキングでした。
ザグレブへ戻ります

帰りのバスは日本から事前予約していました。口コミを見ていると「予定より早く出発することがある」との情報があったので、早めにバス停へ。無事に乗り込み、ザグレブまでの2時間半、景色を眺めつつ旅の余韻に浸りながら帰路につきました。
おわりに

プリトヴィツェ湖群国立公園は、クロアチアの自然美を存分に味わいたいなら、間違いなく訪れるべき場所だと感じました。
クロアチアは四国と同程度の面積の、比較的小さな国です。一方で、アルプス山脈から美しいアドリア海まで、魅力が詰まった国でもあります。そのすべてを巡ることができれば理想的ですが、時間は有限です。今回の旅で迷ったのは、ザグレブをじっくり観光するか、それともプリトヴィツェ湖群国立公園へ訪れるか、という選択肢でした。そしてプリトヴィツェ湖群国立公園に行くことを選び、大正解でした!
写真や映像で見ていた時点でも「なんて美しい場所だろう」と思っていたのですが、実物はその想像を超えていました。エメラルドの湖と無数の滝が織りなす水と緑の風景は、息をのむ美しさ。これまでは海外の街並みや、生活感のある風景を垣間見ることが好きでしたが、プリトヴィツェを訪れてみて、異国の自然も素晴らしい、と思いました。
長きに渡った地中海4800kmの旅も、ついに次回が最終地点です。最後の目的地は世界的観光地・ドゥブロヴニク。初めて写真を見たときから、ずっと行きたいと焦がれていた街です。
憧れの街ではどんな景色が待っていたのでしょう。それではまた。